お墓・納骨・永代供養──死後事務では頼めない“グレーゾーン”とは?

行政書士として日々お客様のご相談を伺っていると、「自分に万が一のことがあったとき、死後の手続きはどうなるのだろう」という不安のお声をよく耳にします。以前のブログでは、おひとりさまの不安を解消する「死後事務委任契約」の全体像についてお伝えしました。役所への届出や公共料金の解約など、死後の煩雑な手続きを第三者に託せる非常に便利な制度です。

しかし、ご相談を進めていく中で、多くの方が誤解されている“あるポイント”に気づきます。それが今回のテーマである「お墓・納骨・永代供養」に関するグレーゾーンです。実は、死後事務委任契約を結んだからといって、お墓に関するすべての希望がそのまま通るわけではありません。

本日は、行政書士の目線から、実務の現場で直面する「できること」と「そのままでは頼めないこと」を分かりやすくお話しします。

1. 死後事務委任契約で「できる」お墓のサポートとは?

まず前提として、死後事務委任契約において、お墓や納骨に関するサポートを依頼すること自体は可能です。例えば、「火葬が終わった後、指定の霊園にお骨を運んで納骨の手続きをする」「霊園への事務的な支払い代行をする」といった事実行為は、契約に盛り込むことで行政書士などの受任者が確実に行うことができます。

身寄りがない方や、遠方の親族に負担をかけたくない方にとって、お骨の物理的な移動や納骨の手配を任せられる安心感は計り知れません。ここまでは、多くの方がイメージされる「死後事務」の範囲内と言えます。

2. グレーゾーン①:先祖代々のお墓への「勝手な納骨」はできない

では、何がグレーゾーンなのでしょうか。一つ目は「既存のお墓への納骨」に関する問題です。

「実家にある先祖代々のお墓に納骨してほしい」というご依頼は多いのですが、お墓には必ず「祭祀承継者(お墓の管理者)」が存在します。死後事務を受任した行政書士がお骨を持っていっても、お墓の管理者の同意がなければ、お寺や霊園は納骨を許可してくれません。

また、霊園の規約によっては「納骨できるのは3親等内の親族のみ」と定められていることも珍しくありません。つまり、契約書に「実家のお墓に入れてほしい」と書いてあっても、法律や霊園のルールの壁に阻まれ、受任者が勝手に納骨することはできないのです。

3. グレーゾーン②:「永代供養の契約」自体は死後に結べない

二つ目のグレーゾーンは、「永代供養」に関する手続きです。

「私が死んだら、どこか適当な永代供養墓を探して契約し、納骨してほしい」と希望される方がいらっしゃいます。しかし、ここには大きな落とし穴があります。お墓の契約(墓地使用契約や永代供養の契約)は、原則として「生きている人」が当事者となって結ぶものです。

亡くなった後に、行政書士がご本人に代わって「新規にお墓の契約を結ぶ」ことは、実務上非常に困難です。霊園側も、亡くなった方との契約は結べませんし、死後事務の受任者が自身の名義で契約するわけにもいきません。

4. グレーゾーン③:親族間の「お骨の奪い合い」への介入

三つ目は、親族間の感情的な対立が生じた場合です。

例えば、「本人はA霊園の散骨を希望して死後事務委任契約を結んだが、本人の死後、疎遠だった親族が現れて『先祖の墓に入れるべきだ』とお骨の引き渡しを求めてきた」というケース。

行政書士は、契約に基づいて粛々と事務を遂行することはできますが、親族間で法的なトラブルや争いが生じた場合、一方の代理人として交渉や裁判を行うことはできません(これは弁護士の独占業務となります)。お骨の取り扱いは感情的になりやすいため、事前の根回しがないと受任者が身動きを取れなくなる恐れがあります。

5. トラブルを防ぐカギは「生前契約」とのセット

これらのグレーゾーンをクリアし、ご自身の希望通りに納骨や永代供養を叶えるためにはどうすれば良いのでしょうか。その答えは極めてシンプルで、「お墓の生前契約」をしておくことです。

元気なうちに、ご自身で希望する永代供養墓や樹木葬などの見学に行き、ご自身の名義で「生前契約(生前建墓)」を済ませておきます。その上で、「私が亡くなったら、生前契約しておいた〇〇霊園の永代供養墓へ納骨の手続きをしてほしい」と死後事務委任契約に記載するのです。

お墓の「用意」は生前に自分で済ませ、お墓への「移動・納骨の実行」を死後事務として専門家に託す。この2段構えにすることで、霊園側とのトラブルもなく、スムーズに手続きが進みます。

6. お寺や霊園、親族への「事前の根回し」も忘れずに

もし既存のお墓に入りたいのであれば、生前のうちに祭祀承継者(お墓の管理者)や親族に「自分の死後は、行政書士の〇〇先生にお骨を運んでもらうよう頼んである」と伝え、同意を得ておくことが重要です。

また、菩提寺がある場合は、ご住職にも「死後事務委任契約を使って第三者が納骨の手続きに伺う」旨を事前にお話ししておくことで、死後のトラブルを未然に防ぐことができます。

7. まとめ:行政書士は「あなたの想いを形にする」伴走者

死後事務委任契約は、単なる「死後の作業リスト」ではありません。あなたが最期まで自分らしくあるための大切なバトンです。

「お墓や納骨について頼めないことがあるなんて知らなかった」と不安になる必要はありません。私たち行政書士は、こうした実務上の壁を熟知しているからこそ、「では、生前にどう準備をしておけば確実に希望が叶うのか」をご提案することができます。

どのようなお墓に入りたいか、誰に見送られたいか。ご自身の想いを確実な形にするためにも、インターネットのひな型だけで済ませず、ぜひ一度、地域の行政書士にご相談ください。皆様の不安を安心に変えるためのサポートを、全力でさせていただきます。

※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づき一般的な解説を提供するものであり、特定の事案についての助言・判断を目的としたものではありません。実際の手続きや対応方法は、状況・地域・関係機関・契約内容等によって大きく異なります。そのため、本記事のみを根拠として判断・行動されることはお控えいただき、個別の事情に応じた専門家への相談をおすすめいたします。本記事の内容に基づき生じたトラブル・損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

📝 死後事務とお墓の法律クイズ 📝

行政書士と「死後事務委任契約」を結べば、実家にある先祖代々のお墓に、行政書士の判断で自由に納骨してもらうことは可能でしょうか?

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