【遺言と贈与】「渡したい」気持ちは同じでも…行政書士が教える、あなたに合うのはどっち?

こんにちは。行政書士の山田です。
日々、多くのご相談者様と向き合っていると、法律の知識以前に「家族を想う気持ち」の深さにハッとさせられる瞬間があります。

その中でも特によくあるのが、「財産を渡すタイミング」についてのお悩みです。
「長男に家を継がせたい」「お世話になった姪にお金を残したい」。
その温かい気持ちを実現するための手段として、法律には大きく分けて「遺言」「生前贈与」という二つの道が用意されています。

教科書的に言えば「死亡時に効力が発生するか、生前に発生するか」の違いですが、実務の現場にいる私から見ると、この二つは「安心のカタチ」が全く異なります。

今日は、法律論だけでなく、「あなたの気持ちやライフスタイルには、どちらが合っているのか?」という視点でお話ししてみたいと思います。

1. 「今すぐ」の笑顔か、「最期」の想いか

一番大きな違いは、やはりタイミングです。

生前贈与の最大の魅力は、「相手が喜ぶ顔を、自分の目で見られること」に尽きます。
例えば、お子さんが家を建てる時の資金援助や、お孫さんの学費。これらは「今」渡すことで、相手の人生を直接的に応援することができます。「ありがとう、助かったよ」という言葉を直接聞けることは、贈る側にとっても何物にも代えがたい喜びでしょう。

一方で遺言は、ご自身が亡くなった後に効力を発揮します。
自分の死後、残された家族が困らないように、あるいは争いにならないようにという「守り」の性質が強いものです。直接お礼を言われることはありませんが、最期まで自分の意思を貫き、天国から家族を見守るための手紙のようなものです。

あなたが重視したいのは、今の喜びでしょうか? それとも未来の安心でしょうか?

2. ご自身の「老後の安心」を確保できるのはどっち?

ここは非常に重要なポイントです。
一度「贈与」をしてしまうと、原則としてその財産は相手のものになり、取り戻すことはできません。

以前、こんなご相談がありました。
「息子に早めに財産を渡して安心させたかったが、渡した後に自分の介護費用が足りなくならないだろうか。」
あるいは、「財産を渡した途端、息子夫婦が疎遠になってしまった」という切ないケースも、残念ながらゼロではありません。

その点、遺言はあくまで「予定」です。
遺言書を書いた後でも、ご自身の生活のためにその財産を使うことは自由ですし、気が変わればいつでも書き直すことができます(※公正証書遺言などの形式によります)。

「財産の手綱(たづな)」を最期まで自分で握っておけるのが遺言、手綱を相手に渡してしまうのが贈与、と言い換えてもいいかもしれません。ご自身の老後資金に十分な余裕があるかどうかが、判断の分かれ目になります。

3. 「あげる」契約と、「のこす」単独行為

少し法律的なお話をしましょう。
贈与は「契約」です。「あげます」「もらいます」という双方の合意が必要です。つまり、相手が「いらない」と言えば成立しませんし、不動産の名義変更などもすぐに行う必要があります。

対して遺言は「単独行為」です。相手の承諾は必要なく、自分一人で決めることができます(もちろん、遺留分などへの配慮は必要ですが)。
「サプライズで渡したい」「今はまだ相手に知られたくない」という場合は、遺言の方が適していると言えます。

また、意外と知られていないのが「負担付贈与」「死因贈与」という選択肢です。
「家をあげる代わりに、最後まで介護をしてね」と約束する。これは単なる贈与や遺言よりも、双方に義務が生じるため、ある意味で非常に強力な約束となります。こうした「第三の道」があることも、頭の片隅に置いておいてください。

4. 気になる「コスト」と「税金」の落とし穴

私たち行政書士は税理士ではないため、具体的な税金の計算はできませんが、一般的な知識として「入り口」の違いはお伝えしなければなりません。

一般的に、相続税(遺言による取得含む)よりも、贈与税の方が税率は高く設定されています。
「早く渡したいから」といって安易に多額の生前贈与をすると、思わぬ高額な贈与税がかかり、結果として受け取った側の負担になることがあります。

ただし、現在は「相続時精算課税制度」や「住宅取得資金の非課税枠」など、生前贈与を後押しする国の制度も充実しています。
また、不動産の名義変更にかかる登録免許税や、不動産取得税についても、相続(遺言)と贈与では税率が異なります。

「節税になると思って生前贈与したのに、トータルで見たら損をしていた」とならないよう、大きな財産を動かす際は、私のような行政書士や税理士と連携してシミュレーションを行うことが不可欠です。

5. 「争族」を防ぐために有効なのは?

「うちは仲が良いから大丈夫」
そう仰るご家族ほど、いざという時に揉めてしまうのを、私は数多く見てきました。

トラブル防止の観点から見ると、「遺言」の作成は最強の予防策です。
特に「公正証書遺言」を作成しておけば、本人の意思が明確に証明され、手続きもスムーズに進みます。

一方で、生前贈与も使いようによってはトラブル防止になります。
例えば、主要な財産を生前にそれぞれの子供たちと話し合いながら配分してしまえば、死後に遺産分割協議をする必要がなくなります。「親父が生前にこう決めてくれたんだから」と、納得感が生まれやすいケースもあります。

ただ、特定の子供だけにこっそり多額の贈与をしていた場合、死後にそれが発覚して「特別受益だ!」「遺留分を侵害している!」と泥沼の争いになることも…。
どちらを選ぶにせよ、「公平感」と「理由の説明」(付言事項など)が、家族の絆を守る鍵となります。

6. あなたの「想い」にフィットする選び方

長々とお話ししてきましたが、結局どちらが良いのでしょうか。
簡易的なチェックリストを作ってみました。

生前贈与が向いている方

  • 老後資金には十分な余裕がある
  • 子供や孫が今まさに資金を必要としている
  • 相手が喜ぶ顔を直接見たい
  • 税金対策(暦年贈与等)を時間をかけて行いたい

遺言が向いている方

  • 老後の生活費に不安を残したくない
  • 財産の内容が変動する可能性がある
  • 「誰に何を渡すか」を自分一人で決めたい
  • 事業承継など、特定の財産を確実に継がせたい
  • 家族間の争いを確実に防ぎたい

まとめ:手続きの向こうにある「家族の物語」

遺言にせよ贈与にせよ、それは単なる紙切れ上の手続きではありません。
そこには、あなたが長い人生をかけて築き上げてきた財産と、それを大切な人に託したいという「物語」があります。

私たち行政書士の仕事は、書類を作ることだけではありません。
あなたがお持ちの「家族への想い」をお聞きし、それが最も良い形で伝わる方法はどれなのか、一緒に知恵を絞ることこそが本分だと思っています。

「まだ決まっていないけれど、話だけ聞いてみたい」
そんな段階でも構いません。まずは、あなたのお気持ちを聞かせてください。
法律の難しい言葉ではなく、普通の言葉で、ご家族の未来についてお話ししましょう。まずは無料相談から始める

※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づき一般的な解説を提供するものであり、特定の事案についての助言・判断を目的としたものではありません。実際の手続きや対応方法は、状況・地域・関係機関・契約内容等によって大きく異なります。そのため、本記事のみを根拠として判断・行動されることはお控えいただき、個別の事情に応じた専門家への相談をおすすめいたします。本記事の内容に基づき生じたトラブル・損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

⚖️ 遺言 vs 贈与 どっちを選ぶ?クイズ

【第1問】「老後の生活資金が足りなくなるのは心配…」という場合、財産の手綱を最期まで自分で握っておける(書き直しや自分のための使用が可能な)方法はどちらでしょうか?

✅ クイズ完了!ありがとうございます。

あなたの想いに最適な方法は、遺言?それとも贈与?
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