相続人はどうやって調べるの?(戸籍収集の方法)

1. はじめに:相続人調査のゴールは「出生から死亡まで」をつなぐこと

相続を正しく進める第一歩は、「誰が相続人なのか?」を戸籍で客観的に確定することです。実務では、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡まで連続した戸籍一式(戸籍・除籍・改製原戸籍のすべて)を集め、配偶者・子(代襲相続を含む)・直系尊属・兄弟姉妹…と順位に従って相続人を確定します。法務局の相続登記ガイドでも“出生〜死亡の連続戸籍を用意”と明示されており、これがすべての土台となります。

2. どこで・誰が請求できる? 2024年開始の「広域交付」を活用

2024年3月1日から、本籍地が遠くても全国どこの市区町村窓口でも戸籍証明(戸籍謄抄本・除籍謄抄本 ほか)が請求できる「広域交付」が始まり、相続の戸籍集めが大幅にラクになりました。請求できるのは本人・配偶者・直系尊属/直系卑属で、自治体の窓口限定(郵送・代理不可)などの運用ルールがあります(※広域交付で取得できる種類や対象外の一部戸籍あり)。具体的な対象者・注意点は自治体の案内にも整理されています。なお、広域交付は「戸籍の附票」は対象外となっており、本籍地の市区町村のみでの交付されます(後述)。

3. 集める書類の種類と“読み方”のコツ(戸籍・除籍・改製原戸籍/附票)

次に、相続人調査で登場する主な書類は次の4つとなります。
①戸籍全部事項証明(戸籍謄本):現行の戸籍の内容を証明。手数料の目安は1通450円くらい。
②除籍全部事項証明(除籍謄本):婚姻・死亡・転籍等で全員が除籍された戸籍。1通750円くらいが一般的。
➂改製原戸籍:法改正等で改製前の古い様式の戸籍。出生や認知、婚姻など過去の身分事項が載ることが多い。
④戸籍の附票:本籍に紐づく住所履歴(登記名義や旧住所との同一性立証の際に有用)。
上記の定義や手数料水準は自治体の案内でも確認できます。※自治体により細かな表記や保存年限の取扱いが異なる点に注意が必要です。
なお、死亡の記載は戸籍に反映されるまで10日〜2週間程度かかることがあります。死亡直後に請求して「記載がまだ」と言われても慌てず、日数を置いて再度請求する必あります。

4. 具体的な取り方:窓口/郵送/(一部自治体の)コンビニ交付

最速で取得する方法は自治体の窓口です。広域交付の対象なら、最寄りの市区町村窓口でまとめて請求できるケースがあります(本人確認書類を持参)。ただし広域交付は郵送・代理不可のため、郵送で取り寄せたい場合は本籍地に直接申請します。郵送請求時の必要書類は、①申請書、②本人確認書類の写し、③定額小為替(手数料分)、④返信用封筒(原則・請求者の住民登録地宛)です。自治体の案内で、返信先や切手の扱い、定額小為替の書き方(受取人欄は空欄 等)を各自治体に事前確認が必要となります。
また、一部自治体ではコンビニ交付や郵送のキャッシュレス決済等に対応されており、対応範囲・対象証明は自治体ごとに異なるため、最新情報を各自治体サイトで確認する必要があります。

5. たどり方の実務:最後の本籍から“1つ前へ”を繰り返す

出生から死亡までの“連続する戸籍”を集めるコツとしては、「最後の本籍」→記載の「前の本籍」へと、1つずつ遡ることです。改製(様式変更)や転籍のたびに戸籍が作り替わっているため、1通で全部そろうことは稀です。各通の記載(転籍日・筆頭者・続柄・子の出生・認知・養子縁組等)を丁寧に読み込み、代襲相続(子が先に死亡している場合に孫が相続人になること)や数次相続(相続手続の途中で別の相続が発生すること)も見落とさないようにしましょう。

6. 「誰の戸籍を、誰が取れるの?」 請求主体のルールと注意

請求できる人は、先ほど記載とおり原則として本人・配偶者・直系尊属/直系卑属です。兄弟姉妹など傍系親族の戸籍は、相続等の正当な理由がある場合に限られ、関係性を示す資料の添付を求められることがあります。広域交付では前述のとおり、対象者が窓口に出向く必要があります(郵送・代理不可)。自治体や法務省の案内で請求主体の範囲と必要書類を必ず確認しましょう。

7. 仕上げは「法定相続情報一覧図」 “一束化”で手続きを軽量化

戸籍一式で相続関係が確定したら、法務局に「法定相続情報一覧図」を申出するのがおすすめです。相続関係を1枚の一覧図+法務局の認証文で証明でき、相続登記(2024年4月から義務化)や銀行払戻し・相続税申告など各種手続で利用できます。複数の機関に同じ戸籍の束を繰り返し提出しなくて済むため、時間・コスト・紛失リスクの削減に役立ちます。手順や利用先は法務局の公式案内を確認するとよいでしょう。

8.まとめ:正確な戸籍収集が “もめない相続”のスタートライン

相続人の確定は、出生〜死亡までの連続戸籍を軸に、除籍・改製原戸籍・附票を適切に組み合わせて裏づけを取る作業です。2024年開始の広域交付や法定相続情報一覧図を活用すれば、時間と手間を大きく減らせます。とはいえ、改製の重なりや代襲・数次相続、離婚再婚・認知・養子縁組の有無など、古い様式の戸籍など読み解きには実務経験が必要な場面も少なくありません。戸籍収集から相続関係説明図の作成まで、行政書士は、丁寧に伴走します。まずは現状と目標(いつまでに何をしたいか)を一緒に整理して、最短ルートで進めましょう。

※上記の記載は、一般的な戸籍の収集方法です。実施する場合は、関係自治体に事前確認するなど、あくまでご自分の責任で行ってください。

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