離婚協議書はなぜ「公正証書」にするべきか?養育費不払いを防ぐ「強制執行認諾」というお守り

離婚という決断は、人生において非常に大きなエネルギーを要するものです。「とにかく早く今の状況から解放されたい」「顔を合わせるのも辛いから、話し合いは最低限にしたい」——ご相談に来られる多くの方が、そのような切実な思いを抱えていらっしゃいます。

そのお気持ちは、痛いほどよく分かります。しかし、あえて申し上げたいことがあります。それは、「離婚はゴールではなく、新しい生活のスタートである」ということです。

そして、その新しい生活を脅かす最大のリスクが、残念ながら「約束が守られないこと」にあります。

今回は、なぜ単なる契約書ではなく「公正証書」が必要なのか。特に、お子様の未来を守るための「養育費」と、それを担保する「強制執行認諾」という強力な効力について、専門家の視点から分かりやすくお話しします。

1. 「とりあえず離婚届」が招く将来の落とし穴

「相手も『養育費は月々〇万円払う』と言っているし、念書も書いてもらったから大丈夫です」。そう仰る方は少なくありません。もちろん、お互いの信頼関係のもと、最後まで約束が守られればそれが一番です。

しかし、離婚後の生活は双方が変化していきます。元配偶者が再婚したり、転職して収入が減ったり、あるいは単に心情の変化があったり……。今の「払う」という意思が、5年後、10年後も同じである保証はどこにもありません。

実は、当事者同士だけで作成した「離婚協議書」には、法的な強制力がほとんどありません。もし支払いが滞った場合、その協議書を証拠として裁判を起こし、勝訴判決を得て初めて、給与の差押えなどの強制執行が可能になります。

これには多大な時間と費用、そして精神的な労力がかかります。日々の生活や育児に追われる中で、裁判を起こす余裕がある方は、そう多くはないのが現実です。

2. 公正証書と私的な契約書、決定的な違いとは

ここで登場するのが「公正証書」です。公正証書とは、元裁判官や検察官などの法律実務家の中から任命された「公証人」が作成する公文書のことです。

ご自身で作る契約書との決定的な違いは、その「信用力」と「証明力」の高さです。公証人が法律に基づいて作成するため、内容が無効になるリスクが極めて低く、また原本が公証役場に長期間(原則20年)保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。

しかし、離婚における公正証書の最大のメリットは、単なる証明力の高さだけではありません。もっと具体的で強力な機能が備わっているのです。

3. 養育費不払いを防ぐ切り札「強制執行認諾文言」

公正証書を作成する際、最も重要と言っても過言ではないのが「強制執行認諾文言(きょうせいしっこうにんだくもんごん)」です。

強制執行認諾文言とは?

簡単に言えば、「もし約束通りにお金を支払わなかったら、裁判を経ずに、直ちに私の給料や財産を差し押さえられても文句は言いません」という宣言のことです。

この文言が入った公正証書を作成しておけば、万が一養育費の支払いが止まった際、裁判を起こすことなく、スピーディーに相手の給与や預金を差し押さえる(強制執行)手続きに入ることができます。

つまり、この文言がある公正証書は、裁判の「判決文」と同じような強力な効力を持つのです。これが、私たちが公正証書の作成を強くお勧めする最大の理由です。

4. 統計が語る「養育費」の厳しい現実

厚生労働省の調査によると、母子世帯で元配偶者から養育費を受け取っている割合は、残念ながら約24%程度(令和3年度全国ひとり親世帯等調査)にとどまっています。「最初は払われていたけれど、途中で止まってしまった」というケースが後を絶たないのです。

養育費は、元配偶者への手切れ金ではなく、お子様が健全に成長するための「権利」であり、生活の糧です。

「相手を疑うようで気が引ける」と公正証書の作成を躊躇される方もいらっしゃいます。しかし、これは相手を疑うことではなく、将来どのような変化があってもお子様の生活水準を守り抜くための「保険」であり、親としての「責任」の果たし方の一つだと思います。

5. 「言った言わない」をなくし、精神的な安定を得るために

公正証書を作成するには、公証役場との打ち合わせや、必要書類の収集、そして公証人手数料などの費用がかかります。離婚協議書をご自身で作る場合に比べれば、確かにハードルは高く感じるかもしれません。

しかし、その手間の対価として得られるのは「法的な安全性」だけではありません。「何かあっても公正証書がある」という精神的な安定です。

口約束やメモ書き程度の合意で離婚し、毎月の振込日になるたびに「今月はちゃんと振り込まれるだろうか」と不安な気持ちで通帳を確認する生活は、想像以上にストレスが溜まるものです。

公正証書というしっかりとした形にしておくことで、支払う側にも「公的な文書を作ったのだから、責任を持って支払わなければならない」という強い心理的プレッシャー(良い意味での動機付け)を与えることができます。結果として、強制執行をするまでもなく、支払いが継続される可能性が高まるのです。

6. 離婚協議書作成における行政書士の役割

ここまで公正証書の重要性をお話ししてきましたが、いざ作成しようとすると「どんな内容にすればいいのか」「公証役場へはどう行けばいいのか」と戸惑うことも多いでしょう。

公証人は中立な立場であるため、どちらか一方に有利なアドバイスをしてくれるわけではありません。だからこそ、私たち行政書士の出番があります。

行政書士は、皆様のご希望やご事情を丁寧にヒアリングし、将来のトラブルを予測した上で、漏れのない原案を作成します。また、公証役場との打ち合わせや代理人としての嘱託(作成依頼)も可能ですので、相手方と顔を合わせずに手続きを進めることもできます。

  • 「養育費はいつまで?大学卒業まで?」
  • 「面会交流の頻度やルールはどうする?」
  • 「慰謝料や財産分与、年金分割は?」

一つひとつの条件を、法的な観点から整理し、最善の形をご提案します。

7. まとめ:お子様とあなたの未来への贈り物

離婚は、過去との決別ですが、公正証書の作成は未来への投資です。
一時の手間と費用を惜しんで、将来に不安の種を残すのか。それとも、しっかりとした土台を作って、安心して新しい人生を歩み始めるのか。

もし、今まさに離婚を考えていらっしゃるなら、あるいは離婚協議中で条件がまとまらないと悩んでいらっしゃるなら、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。

法律的な知識だけでなく、あなたの不安に寄り添い、お子様とあなたの未来を守るための最適なサポートをさせていただきます。

公正証書は、新しい生活を笑顔で過ごすための、最後にして最大のお守りです。

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※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づき一般的な解説を提供するものであり、特定の事案についての助言・判断を目的としたものではありません。実際の手続きや対応方法は、状況・地域・関係機関・契約内容等によって大きく異なります。そのため、本記事のみを根拠として判断・行動されることはお控えいただき、個別の事情に応じた専門家への相談をおすすめいたします。本記事の内容に基づき生じたトラブル・損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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