こんにちは、行政書士の山田です。
日々の業務の中で、交通事故の被害に遭われた方からご相談を受ける際、一番最初によく耳にする言葉があります。
「事故直後は興奮していて、痛みを感じなかったんです」
「少し違和感はあったけれど、仕事が忙しくて病院に行けなくて…」
お気持ちは本当によく分かります。突然の事故でパニックになり、警察への連絡や相手方とのやり取りで精一杯。自分の体のことは二の次になってしまうものです。また、「これくらいの痛みで病院に行くのは大げさかな?」と遠慮してしまう方もいらっしゃいます。
しかし、行政書士として、心を鬼にして言わせてください。
「どんなに軽傷だと思っても、事故に遭ったらすぐに病院へ行ってください」
今回は、交通事故における「通院のタイミング(初診日)」がいかに重要か、そして「遅くとも何日以内に行くべきか」について、損害賠償請求の実務的な観点からお話しします。
この記事のポイント
- 理想は「即日」、遅くとも「1週間〜10日以内」が一般的にデッドライン
- 時間が空くと「事故との因果関係」を疑われる
- 「むちうち」は翌日以降に痛みが出ることが多い
- 整骨院ではなく、まずは「整形外科」へ行くべき理由
1. 結論:理想は「即日」、遅くとも「1週間〜10日以内」がデッドライン
最初に結論から申し上げます。
交通事故に遭った場合、病院に行くタイミングは「事故当日、または翌日」がベストです。
もし、どうしても仕事や家庭の事情でその日に行けなかったとしても、遅くとも1週間以内、ギリギリ粘っても10日以内には必ず医師の診察を受けてください。
「えっ、そんなに急がないといけないの? 痛みが出てからじゃダメなの?」
そう思われるかもしれません。しかし、これには医学的な理由だけでなく、「保険会社に治療費や慰謝料を支払ってもらうためのルール(実務上の運用)」が大きく関係しているのです。
2. なぜ「1週間以上」空くとマズいのか? ~「因果関係」の壁~
ここが今回の記事で一番お伝えしたいポイントです。
交通事故の損害賠償(治療費や慰謝料)を請求するためには、「そのケガが、その交通事故によって生じたものである」という証明が必要です。これを専門用語で「因果関係」と呼びます。
例えば、事故の当日に病院へ行き、「首が痛い」と診断されれば、「ああ、さっきの追突事故が原因ですね」と誰が見ても分かります。因果関係は明白です。
しかし、これが事故から2週間後だったらどうでしょうか?
保険会社の視点:
「事故から2週間も経ってから病院に行っている。もしかしたら、この2週間の間に家で転んだのかもしれないし、スポーツで痛めたのかもしれない。本当に2週間前の事故が原因ですか?」
このように疑われてしまうと、因果関係を否定され、治療費の支払いを拒否される可能性が極めて高くなります。
実務感覚としては、事故から1週間を超えると雲行きが怪しくなり、2週間を超えると「事故との因果関係なし」として門前払いされるケースがほとんどです。だからこそ、「1週間以内」というのが一つの重要な目安になるのです。
3. 「むちうち」は翌日以降に痛みが出ることが多い
交通事故で最も多いケガの一つである「むちうち(頸椎捻挫)」には、厄介な特徴があります。それは、「事故直後はアドレナリンが出ていて痛みを感じにくく、数日経ってから症状が出る」という点です。
- 「事故当日は何ともなかった。でも、翌朝起きたら首が回らない…」
- 「3日後くらいから、手足にしびれが出てきた…」
これは非常によくあるケースです。
ここで重要なのは、「痛みが出た時点で、即座に病院に行くこと」です。
「数日経てば治るかもしれない」と様子を見てしまい、ズルズルと1週間、2週間と時間が経過してしまうのが一番怖いパターンです。症状が出たら、それが事故から2、3日後であったとしても、すぐに整形外科を受診してください。
4. 整骨院ではなく、まずは「整形外科」へ
ここも間違いやすいポイントです。
「病院は待ち時間が長いし、近所の整骨院(接骨院)に行こう」と考える方がいらっしゃいます。
日々のメンテナンスとして整骨院を利用されるのは良いことですが、交通事故の「初診」は必ず「整形外科(医師)」の受診をお勧めします。
なぜなら、損害賠償請求に必要な「診断書」を作成できるのは、医師だけだからです。
整骨院の先生は柔道整復師という国家資格をお持ちですが、医師ではないため、法的な効力を持つ診断書を書くことができません(施術証明書は出せますが、診断書とは扱いが異なります)。
まずは整形外科でレントゲンやMRIなどの検査を受け、医師に「診断書」を書いてもらう。その上で、医師の許可を得て整骨院に通う、という順番を守ることが、後のトラブルを防ぐ秘訣です。
5. 「人身事故」への切り替えにも診断書が必要
交通事故には、車やガードレールなどの物が壊れただけの「物損事故」と、人がケガをした「人身事故」の2種類があります。
事故直後に「ケガはない」と警察に伝えると、その事故は「物損事故」として処理されます。しかし、後から痛みが出て治療費を請求したい場合、基本的には警察での扱いを「人身事故」に切り替える手続き(人身切り替え)が必要です。
この手続きをするためにも、医師が作成した「警察提出用の診断書」が必要になります。
病院に行くのが遅れれば遅れるほど、警察も「なぜ今更?」と不審に思いますし、実況見分(現場検証)をやり直す必要が出てくるなど、手続きが非常に煩雑になります。
6. 医師には「些細な違和感」もすべて伝えること
いざ病院に行った時、お医者さんに何を伝えるかも重要です。
「一番痛いのは首ですが、実は腰も少し重い気がします。あと、膝も少しぶつけたかも…」
このように、少しでも違和感がある箇所は、すべて初診の段階で伝えてください。
あとになって「実はあの時、腰も打っていたんです」と言っても、「カルテに記載がないから、今回の事故とは無関係でしょう」と判断されてしまうことがあります。
遠慮は無用です。「ここも、ここも気になります」と指差しで伝え、カルテに記録を残してもらうことが、あなた自身の身を守ることにつながります。
7. 自己判断は禁物!不安ならすぐにご相談を
「大したことない」「忙しいから」「面倒くさい」
その自己判断が、後々、数百万円単位の損害賠償を受け取れるかどうかの分かれ道になることもあります。
交通事故の被害者救済においては、「初期対応のスピード」が命です。
もし、事故から数日が経過していて「今からでも病院に行っていいのかな?」と迷っている方がいれば、今すぐに行ってください。1日でも早い方が有利です。
交通事故の手続きでお悩みではありませんか?
「病院に行きそびれてしまった」
「保険会社から治療費を払えないと言われた」
「今後の流れがわからなくて不安だ」
こうしたトラブルでお困りの際は、私たち行政書士にご相談ください。
交通事故の書類作成のプロとして、現状でどのような対策が取れるか、最善の方法を一緒に考えさせていただきます。
🚗 交通事故の対応力診断クイズ 🚗
【第1問】交通事故に遭った後、治療費や慰謝料を適切に請求するために病院(初診)へ行くべき「デッドライン」はいつまでですか?
【事務所概要】
行政書士やまだ法務事務所
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