【交通事故】整骨院に自賠責の請求手続きを任せるのは違法?知っておきたいリスク

はじめに:整骨院からの親切な提案、受けても大丈夫?

交通事故に遭い、むち打ちや腰痛などのケガで整骨院に通院されている方は多くいらっしゃいます。突然の事故による痛みや精神的な不安を抱える中、親身になって施術をしてくれる整骨院の先生は、被害者の方にとって非常に心強い存在です。

そんな通院を続ける中で、整骨院の先生から「自賠責保険の請求手続き、面倒でしょうからうちの院で代わりにやっておきますよ」と提案されたことはないでしょうか。

患者さんからすれば、「専門的な手続きを任せられて助かる」「治療にだけ専念できる」とホッとするかもしれません。しかし、一介の行政書士として、日々交通事故の書類作成に携わる立場から申し上げますと、この提案には法的な落とし穴が潜んでいます。今回は、整骨院による「請求手続きの代行」がなぜ問題になるのか、分かりやすく解説いたします。

1. 被害者請求とは?なぜ「代行」が提案されるのか

交通事故の被害者が、加害者側の自賠責保険に対して直接、損害賠償額(治療費や慰謝料など)を請求する手続きを「被害者請求」と呼びます。この手続きには、交通事故証明書や診断書、診療報酬明細書など、多岐にわたる複雑な書類を収集し、正確に作成・提出する必要があります。

ケガの治療で辛い思いをしている中、このような細々とした事務手続きを被害者ご自身で行うのは大変な労力です。そのため、患者さんの負担を減らそうという善意から、あるいは「うちの院で継続して治療を受けてもらうためのサービス」として、代わりに手続きを申し出てくれる整骨院が存在するのです。

しかし、ここで注意しなければならないのは、「誰がその書類を作成し、提出するのか」という点です。

2. 【要注意】整骨院による書類作成の代行は「行政書士法違反」の可能性

結論から申し上げますと、整骨院が患者さんに代わって自賠責保険の被害者請求に必要な書類を作成し、手続きを代行することは「行政書士法違反」に問われる可能性が極めて高い行為です。

行政書士法第19条では、「行政書士または行政書士法人でない者が、業として他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類や権利義務に関する書類を作成すること」を厳しく禁じています。

整骨院の先生(柔道整復師)は、あくまで身体をケアする「施術のプロ」であり、法律に基づく「書類作成のプロ」ではありません。

「でも、代行手数料は取られていないし、無料だから問題ないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、実質的に「うちで治療を続けてくれれば無料で手続きしますよ」という形で顧客獲得(集客)の手段として継続的に行っている場合、「業として行っている」とみなされ、違法行為と判断されるリスクがあるのです。

3. なぜ法律で厳しく制限されているのか?

「患者のためを思ってやってくれているのに、なぜ法律違反になるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。法律がこのように書類作成の代行を厳格に制限しているのには、明確な理由があります。

それは、「依頼者(被害者)の権利と利益を確実に守るため」です。

自賠責保険の請求書類は、単に穴埋め問題のように空欄を埋めれば良いというものではありません。事故の状況やケガの程度、さらには将来的な症状の残り方(後遺障害)の可能性なども見据えて、被害者の方の具体的な状況を正確かつ法的に適切な形で書類に反映させる必要があります。

法律の専門知識を持たない人が見よう見まねで書類を作成すると、法的に必要な要件を満たしていなかったり、被害者にとって不利な記載をしてしまったりする恐れがあるのです。

4. 被害者自身に降りかかる3つのリスク

もし、違法性を知らずに整骨院に請求手続きを任せてしまった場合、被害者ご自身にも以下のようなデメリットが降りかかる可能性があります。

  1. 適正な補償(保険金)が受け取れないリスク
    書類の書き方や提出する資料の不足により、本来受け取れるはずの正当な賠償額や慰謝料が減額されてしまう可能性があります。
  2. 手続きが遅延するリスク
    専門知識がないまま書類を作成した結果、保険会社から不備を指摘され、何度も書き直しや再提出を求められるケースがあります。これにより、保険金が支払われるまでに想定以上の時間がかかってしまいます。
  3. トラブルに巻き込まれるリスク
    後日、整骨院の行為が違法(行政書士法違反など)であると問題になった場合、その手続き自体の信憑性が疑われたり、最悪の場合は被害者自身が事情を聴かれたりするなど、思わぬトラブルに巻き込まれる恐れがあります。

5. 餅は餅屋へ。書類作成の専門家である行政書士の役割

ケガの治療や痛みの緩和は、医療機関や整骨院の先生という「身体のプロ」にお任せするのが一番です。そして、複雑な書類作成や法的な手続きは、私たち行政書士のような「書類作成のプロ」にお任せください。まさに「餅は餅屋」です。

私たち行政書士は、被害者の方からじっくりとお話を伺い、必要な記録を過不足なく集め、客観的かつ正確な請求書類を作成いたします。整骨院と行政書士が、それぞれの専門分野でしっかりと役割を分担することこそが、被害者の方にとって最も安心で、確実な解決への近道となります。

6. おわりに:安心して治療に専念していただくために

交通事故の被害に遭われた方は、心身ともに深い傷を負っていらっしゃいます。今一番大切なのは、煩わしい事務手続きや法的なリスクに頭を悩ませることではなく、一日も早くお身体を回復させるために治療に専念していただくことです。

もし、現在通院している整骨院で請求手続きの代行を提案されて迷っていたり、ご自身での書類集めに限界を感じたりしている場合は、その場で安易に任せてしまわず、まずは一度、身近な行政書士にご相談ください。

当事務所では、被害者の方が適正な補償を受け取り、一日でも早く平穏な日常を取り戻せるよう、書類作成の側面から誠実にお手伝いをさせていただきます。ご相談からでも構いませんので、どうぞお気軽にお声がけください。

※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づき一般的な解説を提供するものであり、特定の事案についての助言・判断を目的としたものではありません。実際の手続きや対応方法は、状況・地域・関係機関・契約内容等によって大きく異なります。そのため、本記事のみを根拠として判断・行動されることはお控えいただき、個別の事情に応じた専門家への相談をおすすめいたします。本記事の内容に基づき生じたトラブル・損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

📝 交通事故の請求手続きクイズ 📝

交通事故で通院中の整骨院から、「自賠責保険の請求手続きを代わりにやってあげる」と提案されました。この提案の法的な問題点として正しいものはどれですか?

✅ クイズクリア!お疲れ様でした!

交通事故の複雑な書類作成や自賠責保険の手続きは、書類作成のプロである行政書士にお任せください。

被害者の方が安心して治療に専念できるよう、誠実にお手伝いいたします。

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