農地の種類で転用の可否が変わる? ~青地・白地、区域の違いを徹底解説(立地基準①〜⑤対応)~

公開日:2025/10/09 / 更新日:2025/10/09

目次

  1. はじめに
  2. 転用を左右する2つの法律
  3. 青地/白地と都市計画の区域
  4. 立地基準①〜⑤と転用難易度
  5. 区分×区域×立地の難易度マトリクス
  6. 転用ステップと必要書類
  7. 専門家に相談するメリット
  8. まとめ

1. はじめに

「田んぼを駐車場にしたい」「畑の一角に家を建てたい」──こうしたご相談は多いですが、農地の転用には厳格なルールがあります。可否は単に「農地かどうか」では決まりません。青地/白地という区分に加え、市街化区域/市街化調整区域といった都市計画の区域、さらに本記事で詳説する立地基準①〜⑤(①農用地区域内農地/②甲種農地/③乙種第一種/④乙種第二種/⑤乙種第三種)が総合的に影響します。

結論:白地 × 市街化区域 × 乙種第三種は最も転用しやすく、青地 × 調整区域 × 農用地区域内農地は最も困難です。

2. 転用を左右する2つの法律

農地法:許可 or 届出

農地を宅地・駐車場・店舗等へ変えるには、農地法第4条/第5条に基づく手続きが必要です。自己転用は4条、売買を伴う転用は5条。市街化区域なら届出のみで足りる場合が多く、調整区域や優良農地では許可が必要かつハードルが高くなります。

都市計画法:区域の違い

市街化区域=10年以内に計画的に市街化を図る区域で転用しやすい。市街化調整区域=市街化を抑制すべき区域で原則として転用困難。区域の確認は市町村の都市計画課が確実です。

用語ミニ辞典

青地:農用地区域内農地。保全優先。
白地:農用地区域外農地。活用柔軟。
4条:所有者が自分の農地を転用。
5条:売買等で他人が転用。

3. 青地/白地と都市計画の区域

青地(農用地区域内)は農業振興上の中核で、原則転用不可。希望するなら農振除外が先決ですが、受付時期が限られ審査も厳格です。白地(農用地区域外)は比較的転用しやすく、区域や立地次第で許可・届出の別が変わります。

土地の位置手続き概要
市街化調整区域(白地)許可(4/5条)原則困難。公益性や個別要件で可否
青地(区域問わず)農振除外+許可極めて困難(公共性が鍵)

4. 立地基準①〜⑤と転用難易度

実務では、次の5区分で転用可否・難易度を評価します。番号が小さいほど保全優先、番号が大きいほど転用容認の傾向です。

① 農用地区域内農地:ほぼ不可 ② 甲種農地:極めて困難 ③ 乙種(第一種):困難 ④ 乙種(第二種):条件次第⑤ 乙種(第三種):容易

① 農用地区域内農地(青地の中心)

農業振興上の中核。原則転用不可。除外(農振法)→農地法許可の二段階が必要で、個人的な理由ではほぼ認められません。

② 甲種農地

青地外でも一体の優良農地。水利・土壌・集団性が高く、原則不可。公共施設などで限定的に容認されることがあります。

③ 乙種農地(第一種)

周辺が農地中心で農業振興上重要。原則困難。やむを得ない公益需要がある場合に個別判断。

④ 乙種農地(第二種)

市街地縁辺部で住宅・工場が混在。条件次第で許可。既存市街地に連続する小規模住宅・駐車場などは検討余地大。

⑤ 乙種農地(第三種)

市街地化が進行し農業利用の見込み薄。転用容易。市街化区域なら届出で完了するケース多数。

5. 転用ステップと必要書類

  1. 現況確認:青地/白地、区域(市街化/調整)、立地基準①〜⑤を役所で確認(農業委員会・都市計画課)。
  2. 計画立案:用途(住宅・駐車場・店舗等)、配置、排水・接道・景観を具体化。
  3. 申請/届出:4条(自己転用)/5条(売買転用)。市街化区域は届出、調整区域は許可が中心。
  4. 審査・補正:現地調査、周辺影響、公益性、技術要件を確認。必要に応じ補正。
  5. 許可・着手:許可書交付→関係手続(建築確認・造成許可等)へ連携。

主な添付資料

公図・地積測量図、登記事項証明書、位置図・現況図、配置図、排水・出入口計画、隣接関係資料、写真等。

6. 専門家に相談するメリット

可否は「立地基準の見極め」と「説明設計」で大きく変わります。行政書士は、区分調査、除外可能性の検討、申請書作成、役所との調整まで一気通貫で支援できます。
早期相談により、ムダな手戻り回避が可能です。

7. まとめ

白地 × 市街化区域 × ⑤乙種第三種は最も転用しやすく、青地 × 調整区域 × ①農用地区域内は極めて困難。迷ったら、まずは「区分・区域・立地」の三点を確認し、早めに専門家へ。正しい順序で進めれば、時間も費用も最小化できます。

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