相続財産で不動産名義の共有はどうしておすすめしないのか|“とりあえず共有”が招く落とし穴

相続の話し合いの場で、つい出てくる言葉があります。
「とりあえず、兄弟で共有にしておこうか」
いかにも平和的な解決に聞こえますが、実はこの判断が、後々のトラブルの火種になることも少なくありません。
今回は、相続財産の中でも特に揉めやすい「不動産の共有」について、わかりやすく解説します。

更新日:2025年10月31日目次

  1. 「とりあえず共有」が危険な理由
  2. 共有名義の仕組みを知っていますか?
  3. 共有が招く3つの典型的なトラブル
  4. 実際のケース:仲の良い兄弟が険悪になった理由
  5. なぜ“公平”に見えて不公平になるのか
  6. 揉めないための3つの解決策
  7. まとめ:「共有」は家族の絆を壊す前に整理を

1. 「とりあえず共有」が危険な理由

相続の話し合いでは、「とりあえず兄弟で共有にしておこう」という結論に落ち着くことがよくあります。
その場では、誰もが「公平だし、揉めなくて済む」と安心します。
しかし、その“とりあえず”が、数年後に思わぬ問題を引き起こすことになるのです。

共有名義は、一見平等ですが、時間が経つにつれて次のような変化が起こります。

  • 兄弟の一人が亡くなり、その子ども(甥・姪)が相続に加わる
  • 共有者の間で意見が食い違う(売る・貸す・建て替えるなど)
  • 固定資産税や修繕費の負担が不公平に感じられる

こうして、最初は平和的だった“共有”が、次第に「使えない」「売れない」「話がまとまらない」土地に変わっていくのです。

2. 共有名義の仕組みを知っていますか?

「共有」とは、一つの不動産を複数人がそれぞれの割合で所有すること。
例えば、兄弟2人なら「長男1/2」「次男1/2」という形になります。
問題は、その後の手続きです。

不動産を売る・貸す・建て替える・担保に入れる——いずれも共有者全員の同意が必要です。
つまり、一人でも「反対」と言えば、何も動かせません。

公平なようで、現実には思うようにならないのが、共有です。

3. 共有が招く3つの典型的なトラブル

(1)売りたくても売れない

不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要です。
「自分は住んでいないから売りたい」と思っても、共有者の1人でも反対すれば動きません。
結果として、誰も使わないのに売れない不動産が残ります。

(2)共有者が増え続ける

時間が経つと、共有者の数はどんどん増えます。
兄弟2人が共有→それぞれの子どもが相続→さらに孫へ…。
気づけば、所有者が10人以上になっていることも。
「誰に連絡すればいいのか分からない」状態は、もはや管理不能です。

(3)費用や責任の分担でもめる

固定資産税や修繕費、庭木の手入れなど、誰がどこまで負担するのか。
「自分は使っていないから払いたくない」「住んでいる人が払うべきだ」
そんな不満が積み重なり、やがて人間関係の溝に発展します。

4. 実際のケース:仲の良い兄弟が険悪になった理由

あるご家族のお話。
両親の実家を相続した際、「とりあえず兄弟3人で共有」という形にしました。
ところが、5年後に状況が一変します。

誰も住まなくなり、空き家に。
固定資産税と維持費の負担が重くのしかかり、売却を検討しました。
しかし、一人の兄が「思い出があるから売りたくない」と反対。
話し合いは平行線のまま。
結局、裁判所で「共有物分割訴訟」を起こすしかありませんでした。

兄弟仲は悪くなり、費用も時間もかかる。
“とりあえず共有”の代償は、決して小さくありません。

5. なぜ“公平”に見えて不公平になるのか

不動産を共有にすると、「平等でいいじゃないか」と感じます。
しかし、実際には次のような不公平が生まれます。

  • 誰か一人が管理や税金を負担している
  • 利用している人と、していない人で負担が違う
  • 話し合いに応じない共有者がいても、強制できない

結局、「公平なつもりが不公平になる」。
それが、共有の最大の落とし穴です。

6. 揉めないための3つの解決策

① 代償分割で“まとめて相続”

不動産は1人が相続し、他の人には現金を渡す方法です。
「家は長男、次男には代償金を」という形で整理すれば、単独名義になりトラブルを防げます。

② 売却して現金で分ける

誰も住まない家や使わない土地なら、早めに売却して整理するのが得策。
時間が経つほど、管理費も手間も増えていきます。

③ 共有にするなら「合意書」を作っておく

どうしても共有にする場合は、ルールを文書で残すことが重要です。
「売るときの条件」「費用負担」「修繕の手順」などを定めた共有合意書を作成しておくと安心です。

7. まとめ:「共有」は家族の絆を壊す前に整理を

不動産の共有は、見た目には公平でも、将来に大きなリスクを残します。
売れない、修繕できない、相続人が増えて複雑化する。
そうなる前に、「誰が引き継ぐのか」を明確にすることが何より大切です。
共有という選択が家族の絆を壊さないよう、早めの整理と対話をおすすめします。

※本記事は一般的な内容を解説したものです。具体的なご事情により結論は異なります。まずはお気軽にご相談ください。

💡理解度チェッククイズ

ここまで読んで、あなたはどれくらい理解できましたか?
次の3問に挑戦してみましょう!

Q1.なぜ相続で不動産を兄弟共有にするとトラブルになりやすいのでしょうか?

  1. 名義が増えると手続きが簡単になるから
  2. 全員の同意が必要になり、話がまとまりにくくなるから
  3. 税金が安くなるから
▶ 答えを見る

正解はBです。
共有名義の不動産では、売却・修繕・建替えなどに全員の同意が必要になります。
一人でも反対すると進まないため、長期化・紛争化しやすくなります。

Q2.共有のまま放置すると、どんなリスクがありますか?

  1. 不動産が高く売れる
  2. 固定資産税が免除される
  3. 共有者が増え、権利関係が複雑になって処分できなくなる
▶ 答えを見る

正解はCです。
世代が進むと共有者がどんどん増え、誰の同意を得ればいいのか分からなくなります。
結果として「売れない」「登記できない」「誰も責任を取れない」状態になります。

Q3.共有を避けるために有効な方法はどれでしょうか?

  1. とりあえず共有にしておき、後で考える
  2. 代償分割(1人が不動産を相続し、他の相続人に現金を渡す)を行う
  3. 名義を誰のものにもせず放置する
▶ 答えを見る

正解はBです。
代償分割なら不動産を1人の名義にまとめられるため、将来のトラブルを防げます。
公平性を保ちながら、管理・登記もスムーズに進みます。

✅ 全問正解できましたか?
少しでも不安を感じた方は、行政書士に相談してみましょう。
共有名義の整理や合意書作成は、専門家のサポートでスムーズに進みます。

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