父のノートに“財産の分け方”が書かれていた──これって遺言なの?

父の部屋を片づけていると、ふと古いノートが出てきた。 何気なく開くと、ページの端に小さな文字でこう書かれていた。

「家は長男に。預金は妹へ。」

思わず手が止まり、しばらくその文字を見つめてしまう。 書いたのは確かに父の字だ。 でも、この一文にどんな意味があるのだろう。 これは遺言? それとも、ただの走り書き?

相続の現場では、このような“ノート遺言”が見つかることは珍しくありません。 しかし、この小さな言葉が家族を悩ませ、時には兄弟の関係を揺るがすこともあります。

更新日:2025年11月14日

1.なぜ父はノートに「分け方」を書いたのか

まずお伝えしたいのは、こうしたメモには多くの場合、 “家族を思う気持ち”が込められているということです。

「子どもたちに迷惑をかけたくない」 「争ってほしくない」 「気持ちだけでも伝えたい」

そんな想いで、静かな夜、思いついた内容をノートに書き留める方は少なくありません。 誰にも言わず、相談もせず、ただ自分の気持ちをまとめたかったのかもしれません。

けれども、その優しい気持ちが、結果として家族を迷わせてしまうことがあるのです。

2.ノートに書かれた言葉は「気持ち」か「遺言」か

“ノートに書いてある=遺言”ではありません。

遺言書には法律上の決まり(形式)があり、 その要件を満たさなければ「ただのメモ」と扱われてしまいます。

自筆証書遺言の場合は、
・日付
・名前(署名)
・押印
・財産の特定
これらが必要です。

つまり、父のノートに書かれた内容が、 ・いつ書かれたものなのか ・本当に父が書いたものなのか ・どの財産のことを指しているのか これが分からなければ、遺言としては認められません。

とはいえ、内容次第では「遺言として有効」となるケースもあり、判断は慎重に行う必要があります。

3.実際にあった“ノート遺言”のトラブル

現場では、ノート遺言をめぐるトラブルは意外なほど多いものです。 その中でも象徴的な3つのケースをご紹介します。

【ケース1】妹「これは遺言じゃない」兄「父の意思を尊重したい」

ノートには「家は兄へ」と書かれていました。 妹は「法的な遺言じゃないから意味がない」と主張。 兄は「父の気持ちを大事にしたい」と譲らず、最終的に調停へ。 お互い悪くないのに関係だけが悪化してしまいました。

【ケース2】ノートと紙切れで内容が違う

ノートには「畑はAへ」、 後から出てきた紙には「畑はBへ」と書かれていて家族が混乱。 どちらが本心だったのか分からず、協議が振り出しに戻りました。

【ケース3】「家」とだけ書かれていて相続登記ができない

“家”と言っても、 ・土地なのか建物なのか ・どの住所の家なのか が特定できず、結局「無効」と判断されました。

いずれのケースも、「書いてくれていたのに、そのせいで余計に揉めた」という結果に…。 とても切ない話です。

4.ノートを見つけたら、まず何をすべきか

「こんなの見つかっちゃった…どうしよう」 そう不安になったときの、正しい対処法をお伝えします。

① 家族で共有する

一人で判断せず、「こういうものが出てきた」と率直に話しましょう。

② 感情的に結論を出さない

「父はこう言いたかったんだ!」 「これは遺言じゃない!」 とすぐに決めつけると話がこじれます。 あくまで“参考資料”として扱うのが冷静なスタートラインです。

③ 専門家に見てもらう

行政書士であれば、 ・形式のチェック ・内容の適法性 ・家族への伝え方 などを整理し、どう扱うべきか判断の手助けができます。

5.「父の気持ち」はどう扱えばいいのか

メモに書かれた言葉は、父が生前に抱いていた「思い」です。 家族として、軽んじることなどできません。

しかし、法的な力を持たないメモをそのまま押し通すと、今度は別の相続人が納得できず、 家族関係が壊れてしまう危険があります。

だからこそ重要なのは、 “気持ち”と“法律的な手続き”を分けて考えること。

メモに書かれた内容を参考にしながら、 相続人全員で話し合い、正式な遺産分割協議書にまとめるのも一つの手です。

行政書士はその橋渡し役として、 ・話し合うための資料整理 ・協議書の作成 ・遺言書作成の支援 などを行い、円満な相続の実現をお手伝いします。

6.本当に“子どもに迷惑をかけない”ためには

多くの親は「子どもに迷惑をかけたくない」と考えています。 しかし、ノートの走り書きで済ませてしまうと、 その気持ちが“裏目”に出てしまうことがあります。

本当に迷惑をかけないためには、 気持ちを“形”にすることが必要です。

そして、もっともおすすめなのは、 公正証書遺言です。

・法的に確実に有効 ・内容が明確に残る ・紛失や改ざんの心配がない ・家族が争う余地がほとんどない

これこそ“子どもに迷惑をかけない最高の手段”と言えるでしょう。

7.まとめ:ノートの言葉は「気持ち」。遺言書は「形」。

父がノートに残した言葉。 そこには、言葉にできなかった想いや優しさが詰まっています。 しかし、相続手続きは「気持ち」だけでは動けません。

だからこそ、 大切な気持ちを、大切な家族に確実に届けるための“形”が必要なのです。

その手助けをするのが、私たち行政書士の役目です。 「父が書いたメモをどう扱えばいいのか分からない」 「自分も正式な遺言を残しておきたい」 そんなときは、ぜひ早めにご相談ください。

※本記事は一般的な説明です。個別の事情により判断は異なります。詳しくは専門家へご相談ください。

📝 「ノート遺言」の有効性チェッククイズ 📝

【第1問】父のノートに「家は長男に。預金は妹へ。」と書かれていました。これを法的に有効な「自筆証書遺言」とするために、最低限このメモに足りていない要素は次のうちどれですか?

✅ クイズクリア!お疲れ様でした!

「気持ち」を「形」にする確実な相続手続きは、行政書士にお任せください。

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