【行政書士が解説】公正証書遺言の作成当日の手順・所要時間・注意点

公正証書遺言は、公証人が法律に基づいて作成する遺言書であり、自筆証書遺言と比べて無効となるリスクが低く、原本が公証役場で保管されるため、安心して利用できる遺言方式です。

「公証役場へ行くのは初めてなので緊張する」「当日はどれくらい時間がかかるの?」「何を持って行けばいいの?」など、不安を感じる方も少なくありません。

また、2025年10月からは、公正証書の作成手続きのデジタル化が始まり、公正証書遺言についても電子化された新しい手続きで作成されるようになりました。そのため、これまでとは手続きの流れが一部変わっています。

今回は、行政書士の立場から、公正証書遺言を作成する「当日」の流れや所要時間、注意点について分かりやすく解説します。

1.当日の所要時間は30分~1時間程度が目安

最もよくいただくご質問が、「当日はどれくらい時間がかかりますか?」というものです。
公証役場での手続き自体は、おおむね30分から1時間程度で終了することが一般的です。

当日は、遺言の内容を一から考える日ではありません。
誰にどの財産を相続させるのか、遺贈するのかなどの内容については、事前に公証人や行政書士などと十分に打ち合わせを行い、公正証書遺言の案文が作成されています。

そのため、当日は完成した内容を最終確認し、正式な手続きを行うことが中心となります。事前準備が整っていれば、長時間拘束されることはほとんどありません。

2.当日の持ち物と事前準備

手続きを円滑に進めるためには、事前に持ち物を確認しておくことが大切です。
一般的には次のものを持参します。

  • 顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • 公証人手数料
  • 証人2名(ご自身で手配する場合)
  • 公証役場から指定された書類

従来は、本人確認の方法として実印や印鑑登録証明書を利用することが一般的でしたが、現在はデジタル方式による手続きの導入により、本人確認の方法もより柔軟になっています。
もっとも、必要書類は事案や公証役場によって異なる場合がありますので、公証役場から案内された持ち物を事前に必ず確認しておきましょう。

3.手順① 公証役場へ到着・受付

当日は、予約時間の10〜15分前を目安に到着すると安心です。
受付で氏名と予約時間を伝えた後、待合室で順番を待ちます。
証人をご自身で依頼している場合は、ここで合流することが一般的です。

行政書士が証人として立ち会う場合には、当日の流れをご説明しながら、安心して手続きに臨めるようサポートいたします。

4.手順② 本人確認

順番になると、公証人が執務を行う部屋へ案内されます。
原則として、遺言者・証人・公証人が手続きに立ち会います。

公証人は、マイナンバーカードや運転免許証などにより、遺言者本人であることを確認します。
証人についても同様に本人確認が行われます。

5.手順③ 遺言内容の読み聞かせと最終確認

本人確認が終わると、公証人が遺言内容を読み上げ、画面または書面で内容を確認します。
この場面は、公正証書遺言の中でも特に重要な手続きです。

氏名や住所、財産の内容、相続人の表示などに誤りがないか、自分の意思どおりの内容になっているかを、一つひとつ確認しましょう。
少しでも疑問や間違いがあれば、遠慮なく公証人へ申し出ることが大切です。
正式に作成された後で内容を変更する場合は、新たな遺言書を作成する必要が生じることがあります。

6.手順④ 電子サインによる署名

内容に誤りがないことを確認した後は、署名の手続きに進みます。

2025年10月から始まったデジタル方式で作成される公正証書では、従来の紙への署名押印に代わり、電子サインが利用されます。
具体的には、公証人が用意した端末(パソコンやペンタブレットなど)に専用のペンを用いて氏名を手書きします。

遺言者本人が電子サインを行った後、証人も同様に電子サインを行います。
最後に、公証人が電子署名を付与することで、公正証書が正式に完成します。

7.手順⑤ 手数料の支払いと書類の受け取り

手続きが終了したら、公証人手数料を支払います。
手数料は遺言する財産の価額などに応じて法令で定められており、通常は事前に概算額が案内されます。

デジタル方式で作成された公正証書の原本は、電子データとして公証人の管理するシステムに適切に保存されます。
これにより、紙の原本のみで管理していた従来と比べて、紛失や改ざんのリスクは大幅に低減されました。

また、ご希望に応じて、正本や謄本を紙で受け取ることも、電子データで受け取ることも可能です。
受け取った正本や謄本は、将来の相続手続きで必要となる大切な書類ですので、安全な場所で保管してください。


当日に慌てないための3つのポイント

最後に、公正証書遺言の作成当日に気を付けたいポイントをまとめます。

① 持ち物を前日までに確認する

本人確認書類や必要書類を忘れると、予定どおり手続きが進まないことがあります。

② 読み聞かせは必ず最後まで確認する

内容に誤りがないかを確認できる最後の機会です。

③ 時間に余裕をもって到着する

交通事情なども考慮し、10〜15分前には到着するよう心掛けましょう。


まとめ

公正証書遺言の作成当日は、事前に準備された内容を最終確認し、公証人の案内に従って手続きを進めるため、通常は30分から1時間程度で終了します。

2025年10月から始まった公正証書作成手続きのデジタル化により、電子サインを利用した新しい方式が導入され、より効率的で安全な手続きが可能になりました。
もっとも、当日の手続きを円滑に進めるためには、持ち物を事前に確認し、読み聞かせの際には内容を十分確認することが大切です。

当事務所では、公正証書遺言の文案作成、公証人との事前調整、必要書類の確認、証人としての立会いまで一貫してサポートしております。
「公正証書遺言を作成したいが何から始めればよいか分からない」「当日の手続きまで安心して任せたい」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。

※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づき一般的な解説を提供するものであり、特定の事案についての助言・判断を目的としたものではありません。実際の手続きや対応方法は、状況・地域・関係機関・契約内容等によって大きく異なります。そのため、本記事のみを根拠として判断・行動されることはお控えいただき、個別の事情に応じた専門家への相談をおすすめいたします。本記事の内容に基づき生じたトラブル・損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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