【基礎知識】交通事故の「弁護士特約」は行政書士にも使えるの? ~意外と知らない使い道とメリット~

こんにちは。行政書士の山田です。

事故から数ヶ月。ようやく痛みとの付き合い方が分かり、リハビリに通うリズムができてきた頃、多くの被害者の方が直面するのが、保険会社の担当者からのこんな連絡です。

「そろそろ事故から3ヶ月経ちますので、治療の終了をご検討いただけませんか?」
「今月いっぱいで治療費の対応を打ち切らせていただきますね」

まだ首が回らないのに、まだ腰が重いのに……。
「えっ、もう終わり? まだ痛いのに、どうすればいいの?」と、不安で夜も眠れなくなってしまったというご相談を、私はこれまで数え切れないほど受けてきました。

実は、これには「任意保険会社」ならではの事情(統計的な目安で一律に判断するなど)があります。
しかし、諦める必要はありません。

今回は、ご自身が加入している「弁護士費用特約」を使って行政書士に依頼し、「被害者請求」という手続きに切り替えることで、保険会社のペースではなく、ご自身のペースで治療を続けられる方法についてお話しします。

1. なぜ、まだ痛いのに「治療終了」と言われてしまうのか

そもそも、なぜ保険会社は2〜3ヶ月という早い段階で治療を終わらせようとするのでしょうか。
決して担当者が意地悪をしているわけではありません。これには「一括対応(いっかつたいおう)」という仕組みが関係しています。

通常、交通事故の治療費は、相手方の保険会社が病院へ直接支払ってくれます。これを一括対応と言います。
被害者の方にとっては窓口負担がなく便利なのですが、裏を返せば「保険会社が治療費の財布を握っている」状態です。

保険会社は営利企業ですから、支払う治療費をなるべく抑えたいと考えるのが経営上の理屈です。
そのため、一般的なむち打ちなどの怪我の場合、「統計的に3ヶ月程度で治るはず」という目安を持っており、その時期が来ると機械的に「治療終了」を打診してくるのです。

しかし、痛みや回復の早さは人それぞれです。
「平均的なデータ」を押し付けられて、無理やり治療を終える必要など本来はないのです。

2. 「95%の事故」は自賠責保険の範囲でカバーできる

ここで、皆様に知っていただきたい重要な数字があります。
それは、「交通事故の約95%は、自賠責保険の限度額(120万円)以内で収まる」と言われています

交通事故の補償には「自賠責保険(強制保険)」と「任意保険(上乗せ)」の2階建て構造があります。
自賠責保険には、傷害(怪我)の場合、被害者1名につき120万円という枠があります。

「たった120万円?」と思われるかもしれません。
しかし、通院治療費、通院交通費、そして精神的苦痛に対する慰謝料。これらを積み上げていっても、重篤な骨折や長期入院を伴わない限り、この120万円の枠を使い切ることは稀なのです。

つまり、保険会社が「もう打ち切ります」と言ってきても、法的な枠(自賠責保険の120万円)としては、まだ十分に治療費や慰謝料を支払う余地が残っているケースがほとんどなのです。

では、どうすればこの「残っている枠」を使って、納得いくまで治療を続けられるのでしょうか。
その答えが、私が専門とする「被害者請求」です。

3. 「被害者請求」なら、誰にも急かされず治療できる

前述の通り、相手方の保険会社に任せている(一括対応)と、財布の紐は相手が握っています。
しかし、「被害者請求」に切り替えると、この財布の紐をご自身(および依頼した行政書士)が握ることになります。

被害者請求とは、相手方の保険会社を通さず、直接「自賠責保険」に対して書類を提出し、請求を行う手続きです。

この方法の最大のメリットは、「120万円の枠がある限り、ご自身の判断と医師の診断に基づいて、納得いくまで治療を続けられる」という点です。

相手の保険会社の担当者が「もう治療は終わりですよね?」と電話をかけてくることはありません。
なぜなら、被害者請求に切り替えた時点で、相手方の保険会社はいったん手を引く形になるからです(※最終的な示談交渉は残ります)。

「今日は調子が悪いから病院に行こう」
「先生がもう少しリハビリが必要だと言っているから通おう」

そうやって、ご自身の体調に合わせて通院し、その分の治療費や慰謝料を、自賠責保険のルール通りに請求する。
これが本来あるべき「治療」の姿ではないでしょうか。
被害者請求は、この当たり前の権利を取り戻すための手続きなのです。

4. 治療費の立替? 実はその心配はいりません

「でも、相手の保険会社が払ってくれないなら、病院の窓口で一度自分でお金を払わないといけないんでしょう? 年金暮らしだし、立替が続くのはきついわ……」

被害者請求をご提案すると、多くの方がこの「費用の立替」を心配されます。
しかし、ご安心ください。私の事務所にご依頼いただく場合、その心配はほとんどいりません。

なぜなら、私のサポートでは、「ほぼ毎月」のペースで自賠責保険への請求を行うからです。

通常、交通事故の示談金はすべてが終わってから支払われるものですが、被害者請求は何度でも分割して請求することが可能です。
私はこの仕組みを最大限に活用し、毎月末にその月の治療費や交通費、そして慰謝料をまとめて計算し、速やかに請求手続きを行います。

  • 窓口で支払った治療費が戻ってくる
  • さらに、通院日数に応じた「慰謝料」も一緒に入金される

請求から入金までの期間は比較的短期間です。
多くの場合、慰謝料(通院1日あたり4,300円〜)も加算されて振り込まれるため、「窓口で支払った額」よりも「入金される額」の方が多くなることがほとんどです。

つまり、一時的な立て替えは発生しますが、それは短期間で解消され、むしろ手元のお金が減るどころか、しっかりとした補償を受け取りながら通院を続けられるのです。
もちろん、毎月の面倒な計算や請求書の作成はすべて私が行いますので、お客様の手を煩わせることはありません。

5. 「弁護士特約」を行政書士に使う賢い選択

「メリットは分かったけど、行政書士への報酬はどうなるの?」

ここで活躍するのが、ご自身の自動車保険証券に付いている「弁護士費用特約(弁護士特約)」です。
この特約が付いていれば、私たち行政書士への依頼費用も、保険会社が支払ってくれます(※約款によりますが、大半が対象です)。

被害者請求には、以下のような膨大な作業が必要です。

  • 交通事故証明書や事故発生状況報告書の作成・取得
  • 毎月の診断書・診療報酬明細書の回収とチェック
  • 毎月の通院交通費の計算と請求書作成
  • 自賠責保険への発送手配
  • 不備があった場合の修正対応

これら全てを、行政書士が代行します。
お客様にしていただくことは、「しっかり病院に通って治すこと」「領収書を行政書士に渡すこと」。基本的にはこれだけです。

「弁護士特約」は弁護士先生だけのものではありません。
「揉めているわけではないけれど、治療環境を整えたい」「毎月の請求手続きを丸投げしたい」という段階では、行政書士に特約を使って依頼するのが、非常に理にかなった賢い選択なのです。

6. 医師との関係構築もサポートします

治療を続ける上で、もう一つ大切なのが「主治医との関係」です。
被害者請求を行う場合、医師の書く「診断書」が命綱になります。

しかし、忙しいお医者様に「どう書いてほしいか」を伝えるのは、患者様にとっては気が引けるものです。
私たち行政書士は、医療のプロではありませんが、「自賠責保険がどのような記載を求めているか」という書類のプロです。

「先生に、今の痛みの状態をこのように伝えてください」
「診断書にこの検査結果が記載されているか、確認してください」

このように、黒子として患者様と医師の橋渡しとなるようなアドバイスも行っています。
適切な診断書を積み重ねていくことは、万が一後遺症が残ってしまった場合の備えとしても、非常に重要です。

おわりに:ご自身の体を一番に考えてください

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

交通事故の被害に遭われた方が、保険会社の顔色を伺いながら治療をする。
痛みを我慢して、「もう治りました」と言わされる。
そんなことは、あってはならないことです。

自賠責保険という制度は、本来、被害者を守るために国が作った最低限のセーフティネットです。
その「95%の事故をカバーできる枠」を使わずに終わらせてしまうのは、あまりにも勿体無いことです。

もし、弁護士特約に入っているなら、使わない手はありません。費用負担なしで、面倒な手続きから解放され、ご自身のペースで治療に専念できる環境が手に入ります。

「まだ治療を続けたいけれど、保険会社の言われるままでいいのか不安」
「特約が使えるか確認してほしい」

そんなご相談からで構いません。
街の行政書士として、あなたが納得いくまで治療を受けられるよう、全力で「毎月の請求手続き」をサポートさせていただきます。
まずはお気軽にお声がけください。

※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づき一般的な解説を提供するものであり、特定の事案についての助言・判断を目的としたものではありません。実際の手続きや対応方法は、状況・地域・関係機関・契約内容等によって大きく異なります。そのため、本記事のみを根拠として判断・行動されることはお控えいただき、個別の事情に応じた専門家への相談をおすすめいたします。本記事の内容に基づき生じたトラブル・損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

🚗 交通事故・治療費の法律クイズ 🏥

保険会社が事故から3ヶ月程度で「治療終了」を打診してくる主な理由は何ですか?

✅ クイズクリア!お疲れ様でした!

保険会社任せにせず、納得いくまで治療を続けましょう。

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