【交通事故】過失割合が大きいときに被害者請求を検討する理由|自賠責の重過失減額を解説

1. 交通事故で「自分にも過失がある」と言われたら?

交通事故に遭ったとき、「相手の保険会社に任せておけば大丈夫」と考える方は少なくありません。
もちろん、加害者側の任意保険会社が窓口となって手続きを進める「一括対応」が便利なケースもあります。

一方で、事故の過失割合について「自分にもかなり過失がある」と言われた場合には、少し注意が必要です。
なぜなら、交通事故では「民事上の損害賠償における過失相殺」と「自賠責保険での減額」が、必ずしも同じように扱われるわけではないからです。

2. 「一般的な過失相殺」と「自賠責保険」のルールの違い

交通事故における過失割合とは、事故の発生について当事者双方にどの程度の責任があるのかを割合で表したものです。
例えば、相手方の過失が70%、自分の過失が30%とされる事故であれば、「自分にも30%の過失がある」ということになります。

一般的な損害賠償では、この過失割合が損害額に大きく影響し、自分の過失分がそのまま賠償額から差し引かれます(過失相殺)。
しかし、自賠責保険では扱いが異なります。国土交通省によれば、自賠責保険では被害者の過失が70%未満であれば、原則として過失による減額は行われません。

つまり、「自分にも30%の過失がある」とされているからといって、自賠責保険から支払われる金額がそのまま30%減るわけではないのです。

3. 要注意!自賠責保険の「重過失減額」の仕組み

では、被害者の過失が70%以上と大きい場合はどうなるのでしょうか。
自賠責保険には、被害者に重大な過失がある場合に保険金を減額する「重過失減額」という仕組みがあります。ここが非常に誤解されやすいポイントです。

損害の種類によって、以下のように細かく減額割合が定められています。

  • 傷害部分(治療費・休業損害・傷害慰謝料など):過失70%以上100%未満で【一律2割の減額】
  • 後遺障害・死亡部分(過失70%以上80%未満):【2割の減額】
  • 後遺障害・死亡部分(過失80%以上90%未満):【3割の減額】
  • 後遺障害・死亡部分(過失90%以上100%未満):【5割の減額】

「自分の過失が80%だから、保険金も80%減らされるのではないか」と誤解される方が多いですが、そのような単純な仕組みではありません。
自賠責保険は被害者救済を目的としているため、過失が大きくても一定の補償が受けられるようになっています。

4. 過失が大きい事故で「被害者請求」を検討する理由

過失割合が大きい事故では、自分の損害についてどのような資料が提出され、どのように自賠責保険の判断を受けるのかを確認することが重要になります。
そこで知っておきたいのが「被害者請求」という制度です。

被害者請求とは、交通事故の被害者が、相手方の自賠責保険会社に対して「直接」保険金を請求する制度です。国土交通省も、被害者が加害者側の自賠責保険会社に直接請求できることを案内しています。

過失割合について相手方の保険会社の判断だけに任せるというより、自分自身で必要な資料を確認し、自賠責保険に対して納得のいく請求手続きを行えるところに大きな意味があります。

5. 「被害者請求」を選択するメリットと注意点

ここで注意していただきたいのは、「被害者請求をしたからといって過失割合が有利になるわけではない」ということです。

被害者請求には、治療費、休業損害、慰謝料など、人身損害について必要な資料を自分で整理して請求できる透明性の高さや、疑問がある場合に支払金額や判断理由の書面による説明を求めやすいといったメリットがあります。

一方で、必要な書類を準備し、自分で請求するという「手間」がかかるのも事実です。また、自賠責保険には支払限度額(傷害の場合は被害者1人につき120万円など)があるため、自賠責保険だけで損害すべてが補償されるわけではありません。
「被害者請求なら必ず得をする」と考えるのではなく、ご自身の事故においてどの請求方法が適切なのかを検討することが大切です。

6. 過失割合が大きいと言われた時に整理すべきポイント

交通事故についてご相談を受けた場合、私はまず「過失割合が何%なのか」だけを見るのではなく、全体像を把握することが重要だと考えています。
特に過失割合が大きいと言われた場合には、以下の点を一つずつ整理することが大切です。

  • 事故の具体的な状況と過失の根拠
  • ケガの内容や現在の治療経過
  • 今後の見通しや後遺障害が残る可能性
  • 仕事を休んだことによる休業損害の有無
  • 自賠責保険の限度額(120万円等)に収まる範囲かどうか

事故の状況と損害の内容を冷静に整理したうえで、自分のケースに合った請求方法を選びましょう。

7. 事故後の手続きに迷ったら専門家へ相談を

交通事故では、「自分にも過失がある」と言われると、それだけで補償を受けにくくなったように感じて不安になるものです。
しかし、これまでご説明したように、正しい知識を持っていれば適切な補償を受けられる可能性は十分にあります。

私たち行政書士は、交通事故の被害者請求に関する必要書類の収集や書類作成などを通じて、皆様をお手伝いすることができます。
(※相手方との示談交渉など、弁護士の専権業務となる部分については、行政書士では対応できないため、必要に応じて適切な専門家をご案内いたします)

事故後の手続きで迷った場合や、「自分の場合はどうなるのだろう?」と不安に思われた場合には、一人で悩まず、まずは現在の状況を整理するためにもお気軽にご相談ください。

※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づき一般的な解説を提供するものであり、特定の事案についての助言・判断を目的としたものではありません。実際の手続きや対応方法は、状況・地域・関係機関・契約内容等によって大きく異なります。そのため、本記事のみを根拠として判断・行動されることはお控えいただき、個別の事情に応じた専門家への相談をおすすめいたします。本記事の内容に基づき生じたトラブル・損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

🚗 交通事故の過失割合と被害者請求 チェック 🚗

交通事故で「自分(被害者)にも30%の過失がある」と言われた場合、自賠責保険からの支払いはどうなるでしょうか?

✅ 全問終了です!お疲れ様でした!

交通事故で「過失がある」と言われても、正しい知識があれば適切な補償を受けられる可能性があります。ご自身に合った請求方法の検討や、被害者請求の書類作成サポートをご希望の際は、当事務所へお気軽にご相談ください。

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