契約書の不備で起こったトラブル事例 “たった一文”が会社を揺るがした現場から学ぶこと

「契約書はとりあえずネットのテンプレで作った」「昔からの付き合いだから大丈夫」。
そう思っていた契約が、ある日突然トラブルに変わることがあります。 行政書士として感じるのは、“契約書の不備”ほど後から効いてくるものはないということ。 今回は、実際に起こったトラブル事例をもとに、契約の怖さと防止策をお伝えします。

更新日:2025年11月4日

1. 「契約書の不備」は“書いてないこと”から起こる

契約トラブルというと「相手が約束を破った」「支払いが遅れた」といった場面を思い浮かべがちですが、 実際には“契約書に書いていなかったこと”が原因になるケースが非常に多いのです。

つまり、書いてない=取り決めていない=主張できない。 契約書は、当事者の「共通認識」を形にするもの。 曖昧なまま進めると認識の違いによって、後で「そんな話じゃなかった」と争いになります。

2. 事例①:工事代金の支払い遅延。日付がなかった契約書

建設業者Aさんは、知人の紹介で店舗改装の工事を請け負いました。 契約書も作成し、金額・内容も明記。 ところが、トラブルが起こったのは「支払期日」が書かれていなかったことでした。

施主が「来月払うつもりだった」と主張する一方で、Aさんは「今月末払いの約束だった」と反論。 書面に日付がないため、法的にも判断が難しくなり、支払いは3か月も遅延。 結局、Aさんは弁護士を立てて内容証明を送り、ようやく回収できました。

この事例の教訓は、「いつまでに、どんな形で支払うか」を明確に書くこと。 期日や分割条件、遅延時の利息など、細部まで盛り込むのがプロの契約書です。

3. 事例②:賃貸トラブル。原状回復の範囲が曖昧だった

退去時の「原状回復トラブル」は、一般の方で最も多い事例の一つです。 Bさんは、事務所として借りていたテナントを退去する際、 貸主から「壁紙も床もすべて張り替え」と請求されました。

しかし、契約書には「原状回復を行うものとする」としか書かれていませんでした。 結果として、“どこまで直すのが原状なのか”で双方が対立。 裁判所も判断に苦しみ、長期の調停となってしまいました。

実は、国土交通省が示すガイドラインでも、「経年劣化や通常損耗は貸主負担」とされています。 しかし、それを明記していないと、後から水掛け論になる可能性があります。 契約書には必ず、「通常損耗の扱い」を明記しておくことが重要です。

4. 事例③:業務委託契約。成果物の所有権を巡る争い

デザイン業を営むCさんは、ホームページ制作を企業から依頼されました。 契約書には「納品後、全データを渡す」とだけ記載。 ところが納品後、依頼企業がデザインを改変し、別の広告に転用していたのです。

Cさんは「著作権侵害だ」と主張しましたが、契約書に著作権の取り扱いが明記されておらず、 結果的に“納品時点で企業側に権利が移った”と判断されました。 せっかくのデザインが、自分の知らないところで使われていたという苦い経験です。

このようなケースを防ぐには、 著作権・二次利用・再委託の可否を明確に定めること。 契約の世界では、「書いていない権利は守られない」が基本原則です。

5. “ひな形”の危険性|インターネットのテンプレが合わない理由

最近はネット上に多くの契約書テンプレートが公開されています。 もちろん、基本形として使うのは悪くありません。 ただし、それをそのまま使うとトラブルを呼ぶケースが後を絶ちません。

理由は簡単。 契約は一件ごとに条件が異なり、「誰が」「どの範囲で」「いつまで」「どう責任を取るか」が変わるからです。 つまり、“ひな形”は誰かの契約であって、あなたの契約ではないのです。

行政書士として契約書を作成する際も、依頼者の業種・相手方の立場・想定リスクを細かくヒアリングします。 契約は「紙の形式」ではなく「信頼を守る設計図」なのです。

6. トラブルを防ぐために“最低限”書いておくべきこと

契約書の種類を問わず、以下の6項目は必ず明記しておくべき基本事項です。

  • ① 契約当事者の正式名称と代表者名
  • ② 契約期間と更新の有無
  • ③ 金額・支払い方法・期日
  • ④ 契約解除の条件と違約金
  • ⑤ 紛争時の管轄裁判所
  • ⑥ その他、成果物や著作権・再利用に関する規定

この6つを押さえておくだけでも、後のリスクは大幅に減らせます。 特に、「解除条件」や「裁判所の場所」はトラブル時に大きな効力を持ちます。

7. まとめ:契約書は“争うため”ではなく、お互いを“守るため”にある

契約書を作る目的は、「揉めたときの証拠」ではなく、 揉めないためのルールづくりです。 書面があることで、互いの信頼関係を可視化し、将来の誤解を防ぎます。

行政書士として感じるのは、 「トラブルが起きてから来る相談」よりも、「起きる前に相談してくれれば防げたのに」というケースの多さです。あなたの事業や財産を守るためにも、ぜひ一度契約書の中身を見直してみてください。

※本記事は一般的な事例をもとにした解説です。実際の契約内容によって対応は異なります。個別のご相談は専門家へ。

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【第1問】契約書がないことよりも、実際にトラブルの原因になりやすいと記事で指摘されているのは何ですか?

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