相続した山林や田舎の土地はいらない?手放す前に確認したい7つのこと

「親から田舎の土地や家を相続したけれど、自分はそこに住む予定がない」
「山林まで相続することになったが、管理することができない」

相続の相談を受けていると、このような話を聞くことがあります。特に、都市部に住んでいる方にとって、遠方にある土地や建物は、相続した後の管理も大きな負担になります。

では、このような不動産を手放したい場合、どうすればよいのでしょうか。
今回は、相続した田舎の土地・建物・山林を整理するときに、まず確認しておきたいことを行政書士の目線から整理します。

1.「いらないから国に渡す」だけではありません

相続した土地を手放したいと考えたとき、最初に思い浮かぶのが「国に引き取ってもらえないか」という方法かもしれません。現在は「相続土地国庫帰属制度」があります。

ただし、この制度は、相続した土地なら何でも国が引き取ってくれるという制度ではありません。法律により、申請すること自体ができない(却下事由となる)土地が明確に定められています。

  • 建物が存在する土地(例外なく申請不可)
  • 担保権などが設定されている土地
  • 境界が明らかでない土地

上記に該当する場合は、そもそも申請の入り口にすら立つことができません。そのため、「国庫帰属制度を使えるかどうか」だけを考えるのではなく、まずその土地をどのように整理するのが現実的なのかを総合的に考える必要があります。

2.最初に確認したいのは「どんな不動産なのか」

田舎の不動産といっても、内容はさまざまです。例えば、以下のようなケースがあります。

  • 古い住宅が建っている土地
  • 更地になっている土地
  • 農地や山林
  • 道路に接している土地/接道状況に問題がある土地
  • 他人が利用している土地

同じ「不要な土地」でも、土地の状態によって取れる方法は変わってきます。
まずは登記事項証明書、公図、固定資産税の資料などを確認し、どこにどのような不動産があるのかを整理することが大切です。また、遠方の土地であれば、現地の状況を確認することも必要になります。

3.売却できる可能性がないかを確認する

手放したい土地だからといって、最初から「価値がない」と決めつける必要はありません。土地の場所や形状、道路との関係、建物の状態などによっては、売却できる可能性があります。

国土交通省も、相続した空き家について、売却や賃貸、解体など複数の方法を検討することを案内しています。空き家は放置期間が長くなるほど老朽化が進み、売買が難しくなる場合があるため、早めの対応が重要です。

なお、一定の要件を満たす相続した空き家については、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(対象となる譲渡期限は2027年12月31日まで)。税制上の特例には細かな要件があるため、売却を検討する際には税理士などの専門家にも確認しましょう。

4.山林の場合は「土地」だけを見ない

山林を相続した場合は、住宅地とは少し違った確認も必要です。
森林の土地を相続などによって取得した場合、森林法に基づく「森林の土地の所有者届出」が必要となる場合があります。

林野庁によれば、面積にかかわらず、原則として所有者となった日から90日以内に市町村長への届出が必要です(令和8年4月から届出書の様式も改正されています)。

「山林だから何もしなくてよい」ということではありません。相続した山林については、所有者になったことによる手続きと、今後の管理・処分を分けて考えることが大切です。

5.国庫帰属制度を検討するときの注意点

売却などが難しい土地については、改めて「相続土地国庫帰属制度」を検討することが選択肢になります。ただし、ここでも注意が必要です。

第1項で挙げた「申請すらできない土地(却下事由)」をクリアしたとしても、次に「承認されない土地(不承認事由)」の審査があります。例えば山林の場合、適切な造林・間伐・保育が実施されておらず、国による整備が必要な森林などは承認されない可能性があります。

また、国庫帰属制度では審査手数料のほか、承認後に10年分の管理費相当額の負担金が必要になります。最初からこの制度だけを前提にするのではなく、土地の状態を確認したうえで慎重に検討することが重要です。

6.相続登記を後回しにしない

「どうせ売る土地だから、相続登記はしなくてもよいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、2024年(令和6年)4月1日より相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った相続人には、原則として3年以内に相続登記を申請する義務があります。正当な理由なく申請を怠った場合には、10万円以下の過料の対象となることがあります。

土地を売却する場合でも、国庫帰属制度を検討する場合でも、まず現在の権利関係を整理しておくことが大前提です。特に、相続人が複数いる場合には、「誰がその土地を取得するのか」を含めて遺産分割の手続きを整理する必要があります。

7.「手放したい」と思ったら、まず不動産の棚卸しから

相続した田舎の土地や建物、山林を手放したい場合、いきなり「国に引き取ってもらおう」と考える必要はありません。まずは以下の順番で整理していくと、選択肢が見えやすくなります。

  1. どんな土地・建物があるのか
  2. 登記上の所有者は誰なのか
  3. 相続人は誰なのか
  4. 建物や土地の現況はどうなっているのか
  5. 売却できる可能性はあるのか
  6. 売却以外の方法が考えられるのか
  7. 国庫帰属制度の対象になり得るのか

田舎の不動産は、都市部の不動産と比べて、現地確認や境界、道路、建物、森林など、確認する事項が多くなることがあります。だからこそ、「不要だから処分したい」と思った段階で、まず不動産の状況を整理(棚卸し)することが大切です。

私自身、行政書士として相続の相談を受ける際には、制度を一つだけ紹介するのではなく、まず「その方が何を相続し、何に困っているのか」を整理することから始めるようにしています。
相続した土地をどうするかでお困りの場合は、登記事項証明書や固定資産税の納税通知書など、手元にある資料を整理してから専門家に相談すると、スムーズに話が進みます。

※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づき一般的な解説を提供するものであり、特定の事案についての助言・判断を目的としたものではありません。実際の手続きや対応方法は、状況・地域・関係機関・契約内容等によって大きく異なります。そのため、本記事のみを根拠として判断・行動されることはお控えいただき、個別の事情に応じた専門家への相談をおすすめいたします。本記事の内容に基づき生じたトラブル・損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

🌲 相続した田舎の土地・山林ルール チェック 🌲

「相続土地国庫帰属制度」を利用して、相続した土地を国に引き取ってもらう場合、正しい説明はどれでしょうか?

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田舎の土地や山林の相続は、「いらないから国へ」と簡単に手放せるわけではありません。まずはどんな不動産があるのかを調べ、相続登記によって権利関係を整理したうえで、売却や制度利用などの選択肢を検討することが大切です。お手元の資料の整理から、ぜひ専門家へご相談ください。

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