成年後見人の報酬はどう決まる?家庭裁判所が見る「仕事内容」と財産額」成年後見人の報酬はどう決まる?

はじめに:成年後見人の報酬はどう決まる?

成年後見制度を利用するとき、「後見人にはどのくらいの報酬を支払うのだろう」と気になる方は少なくありません。

特に、行政書士などの専門職が成年後見人に選ばれるケースでは、本人の財産から報酬が支払われます。そのため、ご家族からすると「毎月いくらかかるのか」「財産が多いと報酬も高くなるのか」という点は、制度を利用する前に知っておきたいところですよね。

1. 成年後見人の報酬は「誰が」決めるのか?

まず大前提として大切なのは、「成年後見人が自分で報酬額を決めるわけではない」ということです。

成年後見人が本人の財産から報酬を受け取るためには、家庭裁判所に「報酬付与の申立て」を行い、裁判所の審判(決定)を受ける必要があります。

つまり、「後見人になったから、毎月○万円を本人の財産から自由に受け取る」という一般的な契約のような仕組みではありません。
家庭裁判所が、それまでに行われた後見事務の内容や本人の財産状況などを厳格に確認したうえで、事案の実情に応じて報酬額を決定します。

2. 報酬決定の基準は「基本報酬」と「付加報酬」の2本立て

成年後見人の仕事は、本人の生活状況の確認、必要な支払い、福祉サービスの手続きなど多岐にわたります。そのため、現在は単一の基準ではなく「基本報酬」「付加報酬」という2つの視点で判断されています。

  • 基本報酬: 通常の財産管理や見守りに対して支払われるもの。財産額がベースになりますが、実際の仕事内容(事務量の増減や身上監護の負担など)も考慮されます。
  • 付加報酬: 通常の後見業務とは別に、特別な仕事が発生した場合に加算される報酬です。

3. 財産が多い=必ず高額な報酬になるわけではない

成年後見人の報酬について、「本人の財産が多いほど高くなる」というイメージを持つ方は多いかもしれません。

確かに、東京家庭裁判所などが公表している「報酬の目安」では、管理する財産額が1,000万円以下なら月額2万円、5,000万円を超えると月額5〜6万円といった具合に、財産額に応じた基本報酬の基準が示されています。

しかし、実際の基本報酬は単純に「財産が○万円だから報酬は○万円」と自動的に決まるわけではありません。前述のとおり、事務量が極端に少ない場合は減額されたり、身上監護の負担が大きい場合は増額されたりするなど、実際の仕事内容が反映されます。

4. 特別な仕事をした場合には「付加報酬」が加算される

通常の後見業務とは別に、特別な対応が必要になった場合は「付加報酬」が考慮されます。

例えば、本人の介護施設入所のために自宅不動産を売却したり、親族間の遺産分割協議に参加したりといったケースが該当します。

つまり、同じ人が成年後見人を務めていても、ある年は平穏で通常業務のみだった場合と、別の年に不動産売却などの大きな事務があった場合とでは、報酬額に違いが生じるのです。

5. 令和8年の成年後見制度改正で報酬の考え方はどう変わる?

令和8年(2026年)6月に、「民法等の一部を改正する法律」が成立・公布されました。

この改正では、現在の「後見・保佐・補助」という3つの制度を廃止して「補助」の制度に一元化し、本人にとって必要な範囲と期間だけ利用できる制度へと抜本的に見直されることが決まっています。

この改正の中で、報酬についても重要なポイントがあります。それは、家庭裁判所が報酬を決定する際、「行った事務の内容等が報酬の考慮要素であることが、法律の条文上明確化(明文化)された」という点です。

これまでも実務上は仕事の内容が考慮されていましたが、法律上しっかりと明記されたことで、「財産額だけで一律に決めるのではなく、実際に本人のためにどのような支援・仕事をしたのか」という視点が、今後さらに重要視されていくことになります。

6. 費用だけでなく「本人に何が必要か」で判断しよう

成年後見制度を利用するかどうかを検討するとき、報酬の金額はご家族にとって切実な問題です。しかし、「専門職がつくと毎月報酬がかかるから」という理由だけで制度の利用を避けるのは、時として本人の権利を危険にさらすことになりかねません。

成年後見制度は、判断能力が不十分になった本人の財産を悪徳商法などから守り、本人の意思や生活状況に配慮しながら暮らしをサポートするための制度です。

制度を検討するときは、以下の3つを一つずつ整理しておくことが大切です。

  • 誰が後見人になるのが一番安心か
  • 本人のために、今どのような手続きや仕事が必要なのか
  • その結果、財産からどの程度の費用が発生しそうか

7. おわりに:成年後見制度の利用に迷ったら専門家へご相談を

成年後見人の報酬は一律の料金表があるわけではなく、「本人のためにどれだけ動いたか」が反映される仕組みになっています。

制度の利用や将来の財産管理(任意後見や家族信託など)について迷われたら、まずは行政書士などの専門家にご相談いただき、「ご本人にとってどのような支援がベストか」から一緒に考えてみることをおすすめします。

※本記事の内容は、執筆時点の法令・情報に基づき一般的な解説を提供するものであり、特定の事案についての助言・判断を目的としたものではありません。実際の手続きや対応方法は、状況・地域・関係機関・契約内容等によって大きく異なります。そのため、本記事のみを根拠として判断・行動されることはお控えいただき、個別の事情に応じた専門家への相談をおすすめいたします。本記事の内容に基づき生じたトラブル・損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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成年後見人の報酬は、誰がどのように決めるでしょうか?

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成年後見人の報酬は、「財産額」だけでなく「本人のためにどれだけ動いたか(事務内容)」がしっかりと反映される仕組みになっています。費用面だけで利用をためらわず、まずはご本人にとって最適な支援方法について、専門家へご相談ください。

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